松中には「落合式脱出法」しかない
<ソフトバンク1-2日本ハム>◇15日◇福岡ヤフードーム 日刊スポーツ詳細スコアへ >>

- ソフトバンク対日本ハム 9回裏ソフトバンク2死、松中は二ゴロに倒れ最終打者となる。この打席で14打席連続無安打。左は27セーブ目を挙げガッツポーズのマイケル
ソフトバンク松中は深刻な状態だな。打席でもきちんと構えられていない。調子が悪いとかではなく、すでに本人が持っている打撃の基本的な部分が崩れているように思う。これまでいろいろと試行錯誤したと思うが、この時期だからこそ言いたい。「原点」に返るしかないと。投手と野手では違うかもしれないが、私にもスランプはあった。何を投げても打たれるような気がして投球にならない。いろんなことにチャレンジしたが、スランプ状態から本来の姿に取り戻してくれたのは基本中の基本に立ち戻ったことだった。私の場合は投手になった高校時代までさかのぼった。キャッチボールで「しっかり目標を見て投げろ」と指導されたことから実践した。
それにしても、タイとなった5回以降の両投手はさすがだった。杉内も1発の痛手を引きずることなくしっかり立ち直った。このあたりが今季、杉内が成長した証し(あかし)だ。サヨナラ負けしたが、涌井も前半とは変わってよく粘った。リーグ投手陣の先頭を走る2人だけに、ランクの高い投球を見せてもらった。
松中も4番の責任を大いに感じているだろう。でも、今は「結果」を求めてはいけない。私がロッテの監督をしているとき、こんなことがあった。就任1年目。期待の落合(現中日監督)が春先から絶不振。球宴前まで打率が2割に満たなかった。超スランプ状態の中で落合が取り組んだのは、スローボールを打つことだった。今、松中も打撃練習で取り入れているようだが、落合は徹底してセンター返しを心掛けていた。試合後はロッカー室で毎日1時間ほどトップの型つくりを繰り返していた。そして後半戦は4割以上の打率を残し、翌年(85年)から2年連続の3冠王に輝いた。
松中は精神的にもつらいと思う。だが「9月決戦」に向け、今は徹底して「原点」に戻るしかない。ボールをバットの芯(しん)に当てよう―。そんな単純な発想でいい。それが結果的に不振脱出への早道となる。(日刊スポーツ評論家)